大館市立総合病院 様
大館市立総合病院は、文字通り市民の医療の中核を担っている病院です。2009(平成21)年に増改築工事が完成し、現在の姿になりました。地上11階の高層棟の屋上にはヘリポートが設置されています。夜になると窓からあたたかな明かりがともって、それがとてもきれいに見えたりします。旧来の棟と増築部分が融合した個性的なデザインで、建築専門誌に掲載されたこともありました。
その増改築の際に当社で製作させていただいた階段についてお話をうかがってみました。
開放的な受付ホールに調和する階段
【石垣鐵工 スタッフ】吹き抜けになっていて、広々とした受付ホールが明るくていいですね!
【斎藤様】そうですね。白い壁を基調に、木材は秋田杉を使用していて、シンプルで心地よいスペースになっていると思います。県外からいらっしゃった方からは、秋田らしさが感じられていいね、と声をかけていただくことがあります。
【石垣鐵工 スタッフ】この受付ホールにある階段は当社で製作したものです。部屋や機能がたくさんある大きな建物なので、階段ひとつを特に意識して利用することはあまりないとは思いますが…、階段についての感想をお聞かせいただけますか?
【斎藤様】確かに、ふだんは特別気にかけることはありませんでしたが…(笑)。ホール全体のデザインにも調和していますし、登りにくいといったようなこともないので、そういう意味では快適に利用できているからこそ、意識しないで過ごしているのかもしれません。
>実は…、裏側にこだわりがあるんです!
【石垣鐵工 スタッフ】そうですよね。この階段の自慢の部分は、実は…裏側にあるんです。階段の下は、通路にはなっていませんが、壁等で覆わずに支柱で支えるタイプなので、裏側が露出している状態です。通常であれば裏側ではボルトや留め具が見える状態になっていますが、設計図を見たときにこの裏側が人目につく構造になっていたので、ちょっとした工夫を加えたのです。
【斎藤様】お聞きして初めて知りました。
【石垣鐵工 スタッフ】工夫したカ所のひとつ目は、踊り場を支えている支柱です。真ん中にくぼみがある2本の支柱に見えますが、元は2本ずつ4本のパイプでした。金属の柱に隙間があると、経年劣化で痛みが目立ちやすくホコリもつきやすい。だから、2本の間の隙間を埋めて、見た目にもソフトな丸みのある1本の柱に加工したのです。
もうひとつは、踏板を固定しているボルトを隠すためにとりつけた、三角状の“カバー”です。これは、1本ものに加工した支柱との接合部分をうまくなじませるために考えた形状です。
これらがなければ、いかにも鉄骨、といったゴツい金具が目についていた、ということになります。
【斎藤様】そう言われてみると、専門外の私たちでも納得できます。ふだん、何気なく過ごしていましたが、この階段にそのような気遣いがされていたのですね。