南が丘こども園 様
子どもたちといっしょに育つ、
“豆の木のつる”
学校法人 月居学園 南が丘こども園 様
【お話をお聞かせくださった方】
園長 月居 八重子 様
*施工業者様*
設計:坂本寿克建築研究所
http://www.tsai-sakamoto.com/
施工:株式会社伊藤羽州建設
http://www.tsai-sakamoto.com/
施工:株式会社伊藤羽州建設

●幼い頃からの記憶…“らせん階段”
(月居園長先生)
園舎を新しくするときに、私の頭の中にはたくさんのイメージがありました。広々とした空間、遊びのあるデザイン、自然を身近に感られること、木材をふんだんに使うこと、などなど…。とにかく、子どもたちが豊かな感性をはぐくんで、ふるさとや自然を美しい、愛おしいと感じられる大人になってほしい。そのために必要な環境をすべてそろえたい、そういう思いでいっぱいでした。そして、その中でもちょっと変わったこだわりが、「らせん階段」だったのです。
とってもすてきだな〜と思って、ある雑誌の切り抜きをずっと持っていました。それは、らせん階段がしつらえられたパリのアパートメントの写真です。有名なファッションデザイナーの住まいでした。
らせん階段があるホールというのはほぼ前例がないものではありましたが、どうしても実現したい気持ちがあって、設計士の方にお願いしてデザインしていただいたのです。
それにしても、家具や照明などインテリアはたくさんあるのに、なぜ私はらせん階段に惹かれるんだろうと振り返ってみました。そしたら、思い当たることがあって。小さい頃私の実家にも、らせん階段があったんです。節のある天然木を支柱にした木製の階段で、2階へ行く通路というより、踊り場にある窓の景色を眺めるためのものであったように思います。幼い頃の私にとって、らせん階段は自由な発想や心豊かな暮らしの象徴として、ずっと心に残っていたのかもしれません。

月居園長先生は、自由で豊かな発想力をお持ちで、そしてとても朗らか。元気をもらえます。

2階の窓から見える園庭の様子。子どもたちがかぶっている帽子の色はクラスを表しているのですが、まんべんなくまざっていて、年齢を問わずいっしょに遊んでいることがわかります。

らせん階段下から見た、「小ホール」。 床板はヒノキ、天井と腰板には秋田杉が使われています。天窓からの光がやさしく差し込む、木のぬくもりと白い壁が調和した空間になっています。

大きな一枚モノの窓ガラスがある、2階のミーティングスペース。 ふだん子どもたちとお散歩をする田んぼのあぜ道や、鉄塔、民家が見渡せます。まるで絵のように、ふるさとらしい素朴な風景を眺めることができます。
●子どもたちはすばらしい。
信頼しあう喜びを再確認
この園舎は、設計士さんといろいろ相談しながら、スタッフといっしょにアイディアを練りながら、みんなで作り上げていきました。私がどうしてもほしかったらせん階段も、とても美しくデザインしていただきました。ねじれながら上へと伸びている姿は、まるで「ジャックと豆の木」を思わせるようでした。これはもう、カラーリングは緑色にし、豆の木のつるとしてホールのシンボルにしよう、ということになって。 2階のミーティングスペースへの連絡路であるとともに、ひろびろとしたホールのアクセントとなり、空間に夢と彩りを添えてくれました。
しかしながら、鉄製のらせん階段、というのはやはり、“ケガをする”“危険”というイメージがつきまといます。私は、階段に柵を取り付けてもらって普段は施錠するようにし、絶対にケガをさせない、安全を確保すると約束をしました。そのような物理的な防護策を施しつつ、子どもたちには「無断で上ってはだめよ」と伝えたんです。そうしたら、こどもたちはほんとうにすごいですね。ちゃんと理解して、きちんとその約束を守ってくれているのです。子どもたちのことを信じて決めたことで、私は改めて、子どもたちの素直さ、信頼関係を築くことの喜びを感じることができたと思っています。
●いっしょに成長していた、園舎のシンボル
春はさくらを、夏は七夕、秋にはハロウィン、冬にはクリスマス、というふうに、このらせん階段は季節を伝えるアイテムで装飾されるようになりました。スタッフのみんなが、子どもたちといっしょになって手作りの飾り付けを楽しんでくれています。
いつしからせん階段は、この園舎になくてはならない存在になっていました。四季折々の衣装をまとって、子どもたちに囲まれ、スタッフにも愛されている“豆の木のつる”。私はふと気づきました、ああ、このらせん階段は、子どもたちと私たちと、ともに成長している、進化しているんだなあ、と。
私はあらためて、形にしてくださった設計士の方、施工してくださった業者さん、階段を美しく仕上げてくださった石垣鐵工さん、スタッフのみんな、関係してくださったすべての方々に、感謝したいです。そして、こんなふうに、私たちはこの階段を大切にしていて、すごく活躍してもらっていることをお伝えできて、よかったと思います。

「大ホール」にも階段 !
こちらはちょっぴり“おとな”の雰囲気♪
らせん階段は、0歳から3歳までの子どもたちが使用する「小ホール」にあります。4歳と5歳のおにいさんおねえさんたちが使う「大ホール」にも、階段があります。らせんではありませんが、この階段にもすてきなアイディアが取り入れられています。
まず、蹴上げ(けあげ:ステップの垂直部分)に空けた丸い穴。これは、光を通すためだけでなく、この階段の下に置いたピアノの音がよく響くように考えて空けたもの。とてもかわいらしくて、デザイン的にもいいですね。手すりの先端に付いている球体も、この階段をポップでやさしい表情にしてくれています。

「大ホール」にある階段。こちらはちょっぴり大人の雰囲気をかもしています。

蹴上げの丸い穴から向こう側が見えます。明るいし、かわいいです。

手すりの先端にもかわいい“球体”。ちょっと大人になったお姫様や王子様が降りてきそう♪

あ! 向こう側が見えたヽ(´∇`)ノ

向こう側からも見られちゃってた!?

園長先生が2階から手を振ったら、応えてくれました。
